今からもう17年ほど前。
19歳だった私は、一度体調を崩して1年間浪人し、やっとの思いで外国語大学の合格をつかんだ。
「ここから英語がんばるぞ。やっと人生が動き出す。」
そんな期待だけを胸に、北陸の小さな田舎町から単身で京都へ向かった。

今でこそ「京都もそんなに大都市じゃないのでは?」と思うこともある。
けれど19歳のあの頃の私には、駅を降りた瞬間の人の多さも、街の音も、すべてが眩しく映った。
キャンパスから自転車で10分ほど離れた学生向けの下宿。
お風呂は小さなユニットバス。
8畳ほどの部屋に、玄関へとつながる細い廊下がついていて、実質「廊下兼キッチン」のような作りになっている典型的な学生ワンルーム。
玄関の扉は、なぜか少し色あせた赤紫。
冬になると、その扉の隙間から冷たい風がスッと入り込んでくるような、どこか頼りない部屋だった。

それでも、荷物を運び終えて鍵を閉めた瞬間、
胸の奥がふわっと熱くなった。
――よし、ここから私の新しい生活が始まる。
浪人生活を抜け出し、やっとつかんだ憧れのキャンパスライフ。
これから毎日英語を勉強して、努力すればきっと私も、いつか「何者か」になれるはずだ。

そう信じて疑わず、私は一人、静かにわくわくしていた。
――まさかこのあと続く「英語こじらせ地獄」。
15年以上の長い長い旅路を、まだ何ひとつ知らないまま。

→画像はAIで生成しています(靴下が靴っぽいなどのツッコミも受け付けています)
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